アマニ,ニップンのアマニ
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「血管」を鍛えると超健康になる! オメガ3に注目した血管若返り法

第1部『「血管」を鍛えると超健康になる! オメガ3に注目した血管若返り法』医療法人社団 池谷医院 院長、医学博士、総合内科専門医、循環器専門医、東京医科大学客員講師 池谷敏郎氏

桜の木と血管はよく似ている

私のクリニックがある、東京のあきる野市、東京のだいぶ西の方にあり、やっと東京の仲間に入れてもらっているような郊外の街です。ここに2本の桜の木があり、10年前に写真を撮りました。
きれいな花を咲かせる木ですが、片方は秋川駅ができた時に植えられた樹齢が90年ほどのもの、もう1本は後に植えられた樹齢30年ほどの木です。90年の木も30年の木に負けじと美しい花を咲かせています。
街を歩きましても、樹齢30年ほどの桜の木がほかにも咲いています。その中のある木は、あまり花の付きがよくありません。これは、近くにレンタカーの会社があり、いつも排気ガスにさらされているせいでしょう。日当りも悪く、こうした環境にあるため、咲き方も悪くなってしまいます。
さて、桜の木を見ると、私の専門である血管と関連して考えるのですが、よく似ている部分があります。
心臓からの大動脈という太い血管、中枢血管が、木では幹に相当します。手足のやや太い血管は、木のやや太い枝に相当します。そして手足の先、脳の先、心臓の先など各臓器の末端にあるのが末梢血管で、これは桜の枝葉や花の咲く部分に相当します。
大動脈は、その人が生きてきた生き様が刻まれる場所で、木の年輪のようなものです。その人の生活習慣によって変わってきます。例えば喫煙をしていれば、生理的な範囲を超えて硬くなってきます。暖かい所で育つ木が寒い所に植えられると年輪が硬く黒くなるように、大動脈は硬くなるわけです。
枝葉の部分つまり末梢血管は、顔色が変わったり手足が冷えるように、自律神経の影響を受けています。桜の花が咲いたり散ったり、葉がついたり落ちたりするようなものです。抹消の状態が環境によって変化するという点でも、血管と樹木は似ています。
末梢血管は、リラックスすると副交感神経によってしなやかに開きます。一方、緊張すると交感神経によって血管がぎゅっと絞まります。血管は内腔が狭くなって、血流が悪くなります。
もう一つ、血管を拡げる働きで注目されているのが、一酸化窒素(NO=エヌオー)です。これは有酸素運動を行なうと血管の内側から出てくる物質です。NOによって血管がしなやかになり、また動脈硬化によって傷ついた血管が修復されるので、血管の若返りには、NOが重要です。

ストレスや悪い栄養状態の人の血管年齢は

ところで、沖縄の元気な「おばあ」は、例えば75歳という年齢でも、末梢血管は30歳代や40歳代のような血管年齢であることが多いのです。大動脈はこれまで生きて来た年輪として刻まれて相応に歳をとっていますが、身体の隅々まで血液を循環させる抹消の血管は若いままです。
一方、若い20歳代の女性で、夜ふかしをしてタバコを吸ったり、仕事が忙しく夜遅くにコンビニの弁当を買って帰ったり、繁華街を歩いて昼夜が逆転し栄養状態が悪く頭にシラミがいたり、という人たちがいます。こういう人たちの血管を調べてみると、末梢血管の状態が悪くなっており、20歳代の人でも60歳代のような血管年齢が出ることがあります。しかし、木の幹に当たる大動脈は24歳くらいの血管年齢であることが多いわけです。
こうした、ストレスや悪い栄養状態の人は、年齢が重なると生理的な範囲を超えて動脈硬化が進みます。そうなれば、花の付きが悪くなるのと同様になり、動脈の老化が進み、最終的には動脈硬化が全身に及ぶことになります。

血管年齢が若いと肌もきれいに

さて、きれいな一人の女性がいるとします。しかし、きれいであろうとなかろうと、一皮むけばそこには血管が張り巡らされています(笑)。
皮膚のすぐ下まで毛細血管が伸びてきており、肌の栄養はこの血管によって養われています。つい外からのケアばかりを考えがちで、保湿や日よけなども大事ですが、中の血管から栄養が行ってこそ、若々しい肌が保たれることを覚えておいていただきたいと思います。
そして、血管年齢の老化と肌の老化が、非常に関連性があることが、科学的に証明されています。血管年齢が高い人は、顔のしみが濃く面積が広いことも分かっていますし、シワとの関連を研究している研究者もいます。
やはり血管が若くなれば、肌の栄養状態もよくなり、見た目年齢も若返るわけです。

より重要な脳と心臓の血管

肌の血管も大事ですが、より重要なのは頭の中を走っている脳の動脈です。これは私たちが生きていくうえで大事な脳の細胞ひとつ一つに栄養を送り届けているわけです。
心臓も同じです。心臓の上に冠状動脈という3本の血管が乗っています。この血管はストローくらいの太さで、この血管が私たちの心臓を一生涯動かし続けるわけです。
脳梗塞を起こす血管はシャープペンシルの芯くらいの太さで、0.3ミリほどです。そういう血管が詰まると脳梗塞を起こし、破れると脳内出血やくも膜下出血を起こします。もちろん、もっと太い血管が詰まれば大事故になります。
それ以外、私たちの身体にある60兆個の細胞は、血管によって養われています。血管をいかに若く保つかということが私たちの健康につながっているわけです。

第1部『「血管」を鍛えると超健康になる! オメガ3に注目した血管若返り法』医療法人社団 池谷医院 院長、医学博士、総合内科専門医、循環器専門医、東京医科大学客員講師 池谷敏郎氏

ポックリ逝くことは難しい

厚生労働省が出した、平成26年の各年齢層の死因を見ますと、最も多いのが悪性新生物で若い世代でも多いものです。次が心血管障害で、狭心症や心筋梗塞です。子どもの場合には先天性の心血管の病気です。そして、次が脳血管障害で、成人以降ではほとんどが動脈硬化が原因です。生活習慣によって起こる病気は血管によって起こる事故が原因となります。心血管と脳血管の病気を合わせると、がんに匹敵する死因となります。
生活習慣病の患者さんの中には「好きに飲んで食べて、それでポックリと死ねればそれで本望です」とおっしゃる方がいます。
太く短く生きたいということでしょうが、こうした方が心筋梗塞や脳卒中になって、果たしてどのくらいの致死率で、いわば“夢”が叶うかを見ると、心筋梗塞では20%の方が亡くなりますが、意外に少ない数字です。脳卒中で亡くなる方は10%です。それ以外の皆さんは一命を取り留めます。
これはとても大切なことですが、脳卒中の場合には麻痺が残ることがあります。半数くらいの方は重い麻痺が残るので、社会復帰が難しくなりますし、何と言いましても、介護という大きな問題が起こります。最近、健康寿命ということが言われるのは、そうした点を踏まえてのことです。
平均寿命と健康寿命を比べた少し前の統計を見ます。男性が79.55歳、女性が86.3歳で、この時の健康寿命すなわち介護などを必要とせずに自分だけの力で日常生活を送れる寿命はどのくらいでしょうか。男性は70.42歳、女性は73.62歳が平均です。その差は、男性で9.13年、女性で12.68年です。つまり、約10年間は、寝たきりあるいは介護を受けながら生きていかなければならないことになるわけです。
「ポックリといければ本望だ」などと言っている場合ではなく、「いつまでも元気でいようという生活をした中で、倒れてしまったならば、平均寿命と健康寿命が近くなること」が、いい人生が送れることになるわけです。
いろいろな臓器に栄養を送っているのは血管ですから、血管が老いるとともに人は老いていくことになります。

血管は若返ることができる

10年ほど前までは、一度動脈硬化を起こし老いてしまった血管は、錆び付いてしまったのと同様で二度と元には戻らないと言われていました。しかし、近年の研究で、人は「血管とともに若返ること」ができることが分かってきました。血管というのは、生活習慣を改めて努力をすることで、血管年齢は若返らせることができるわけです。
こうした中で、メタボ検診や後期高齢者検診が始まりました。例えばある方は、悪玉コレステロール値が189あるとします。140を超えると脂質異常症です。中性脂肪も高く、善玉コレステロールは少なめ、血圧も高い。するとこの人は臨床的に、高血圧と脂質異常の合併で、お腹もポッコリしているのでメタボリックシンドロームとなります。動脈硬化のリスクが高い典型的な例です。
こういう方が外来に来られれば、医師は、EBM(エビデンス・ベイスド・メディシン)つまり科学的根拠に基づいて説明をします。そこで生活の改善や薬による改善を言うのですが「改善したくないし、薬も一生飲み続けるのは嫌だから飲みたくない」とおっしゃる方が必ずいらっしゃいます。
しかし、全員が薬を飲まなければならないわけではなく、いろいろとその方の背景を考えた上で、薬を飲むか、生活習慣で改善するか、併用するかなどを決めるわけです。
動脈硬化の高いリスクがあり、放置したら悪い状況になるという人でも、自覚症状がなく元気そうにしている人もいます。すると、自分で抱えている生活習慣病のリスクファクターが見えていないわけです。
そこで血管の状態がいかに大切であるかということを説明し、理解を深めてもらうようにしています。

血管の中の肉まんとショーロンポー

血管はホースのようになっていますが、その断面は、内側から内膜、中膜、外膜とあり3層構造になっています。
老化という現象は避けられませんが、生理的な老化や酸化ストレスによっても老化は起こります。
血管の内側に血管外皮という細胞の膜がありますが、これは血管を守るための大事な膜で、単なるバリアーというよりもいろいろな機能を持っており、大事なものは血管の壁に通し、大事でないものは通さない役割があります。最初に言いました血管を修復する一酸化窒素(NO)も分泌します。そしてこの血管外皮から老化が始まります。
さらに、生活習慣病が加わってきますと、酸化ストレスや高血圧によって血管内皮が傷んできます。するとそこに、悪玉コレステロールが染み込んできて、コブができてきます。中に油を持って皮で被われたようなプラークというものです。
酸化ストレスによる傷害を抑えるためには、抗酸化作用のある物質を食べ物から摂ることが重要になり、動脈硬化の始まりを抑えることになるわけです。
酸化ストレスなどによって血管の内側が傷つき始めると、異常を食い止めるために白血球がやってきて集まり、様子を見ます。そして“武装”してマクロファージというものに変わります。悪玉コレステロールが酸化ストレスによって酸化すると異物となり、マクロファージがこれを食べて処理するようになります。食べたマクロファージは死んで血管の中に溜まります。それが繰り返されると炎症が起こります。
炎症は、自分の免疫細胞と身体にとって有害な物質が闘う時に起こるものです。これは身体を守るために大事な働きである一方、血管を傷害して動脈硬化を進めることにもなるのです。そこで、炎症をいかに食い止めるかが、動脈硬化の予防には大事なことになるわけです。
炎症が起こるとコブはジクジクしていますが、コブの表面が傷つきにくい場合で、生活習慣病をそのままにしておくと、コブはジクジクしたままで大きくなっていきます。これを不安定プラークといいます。
分かりやすくたとえると、安定プラークは“肉まん”で、不安定プラークは“ショーロンポー”ということになります。
不安定プラークがあると、血圧が上がった時などに破れ、これをケガだと捉えて出血を止めようとする働きが起こります。これは血管の中ですので血栓という血の固まりができてしまいます。これが何かの拍子に剥がれて血管の先へ行くと詰まって、脳で起これば脳梗塞、心臓で起これば心筋梗塞という状態になります。
もし、心臓の冠動脈、ストローくらいの血管にこうしたコブがあった場合、大きい物と小さい物では、どちらが急性心筋梗塞を起こしやすいでしょうか。
急性心筋梗塞を発症した症例を調べたところ、その発症原因となった冠動脈のコブは、意外にも大きいものではなかったのです。
少し古いですが厚生省(当時)の1998年の統計によりますと、発症した症例の86%はコブの大きさが血管内腔の75%にしか満たない小さなものでした。実は、冠動脈のコブが内腔の80%以上を占めるように内腔が狭くなった症例でないと、運動した際の胸痛などの症状が出にくいのです。心筋梗塞の多くが、血栓によって冠動脈が詰まるその瞬間まで、無症状で過ごしていることになります。
身近なところでも「昨日はあんなに元気そうだった人がなぜ」といったようなことが結構多いのではないでしょうか。
大事なのは、自覚症状のない小さなコブが、悪い生活習慣を変えないで放置したために破れて血管を詰まらせるということです。放っておいても大丈夫な方もいますが、やはりリスクのある方はきちんと調べて、方針を決めなければいけません。
もう一つ、突っ込んだ検査としては、頸動脈エコー検査があります。外来ですぐにできて保険もききます。コブがあると画像で分かります。
一般に言われることですが、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームの対策として、暴飲暴食を控えることで、塩分、脂質、糖質、アルコールの過剰摂取をせず、運動習慣を付けます。運動は血管を鍛えることにもなります。タバコを吸っている人は禁煙が大切です。禁煙することでリスクは4分の1になります。

第1部『「血管」を鍛えると超健康になる! オメガ3に注目した血管若返り法』医療法人社団 池谷医院 院長、医学博士、総合内科専門医、循環器専門医、東京医科大学客員講師 池谷敏郎氏

プラスな健康志向はいい油を取ること

さて、油というものは、とにかく摂りすぎないようにということが言われてきましたが、最近になって、摂り過ぎない方がいい油と、摂った方がいい油があると言われるようになってきました。マイナスではなくプラスの健康志向に切り替わってきているのです。
ただ、そこで大事なのは、バランス感覚ということです。そして、炎症を鎮め、血管の事故を防ぐために脂肪酸の摂り方が重要になってきます。
デンマークのグリーンランドでの研究で、白人とイヌイットの心臓疾患による死亡率を比較しています。白人の34.7%に対してイヌイットはほとんどないことが分かりました。
その原因として食生活を見ると、食べている総カロリーは同じくらいで、油の摂取量も同等でした。しかし、食事の摂り方に違いがあることが分かりました。その中に占めるオメガ3(n-3系)の脂肪酸の量が、イヌイットの方が圧倒的に多かったのです。このオメガ3の脂肪酸は、EPA、DHAにつながるものですが、これが血管の事故を防いでいることが判明してきたわけです。

重要なのはオメガ6とオメガ3の割合

脂肪酸は脂質を作っている成分です。化学構造からいろいろに分類でき、働きが大きく異なります。
二重結合という部分がないものが、飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸はおもに肉やバターといった動物性の油で、摂りすぎれば悪玉コレステロールが増えることになります。
不飽和脂肪酸の中で、二重結合が1個入っているのものが、一価不飽和脂肪酸で、これはオリーブオイルなどです。
二重結合がたくさんあるものが多価不飽和脂肪酸で、さらに二重結合の位置によってオメガ6(n-6系)とオメガ3(n-3系)に分けられます。オメガ6はリノール酸とも呼ばれ、代謝されるとアラキドン酸ができます。これは家庭でも外食でも最もよく使われているサラダ油などで“見えない油”として多く摂取します。
そして、オメガ3はα-リノレン酸とも呼ばれ、EPA、DHAになるものです。食品としては、魚、エゴマ、シソ、そしてアマニに多く含まれています。クルミにも含まれています。
この油を摂る割合が、血管を若返らせる上で非常に大事なことなのです。
日本人が、EPA、DHAといった魚の油を摂る量が以前に比べて大きく変わっているかというと、そうでもありません。若い人は少ないですけれども、全体で見るとそれほどでもありません。では、何がいけないのかというと、飽和脂肪酸やオメガ6脂肪酸を摂る量が問題なのです。アラキドン酸につながるオメガ6脂肪酸の摂り過ぎによって、オメガ3の脂肪酸の割合が減ってしまったのです。
1950年から比較すると、心筋梗塞、脳梗塞が増えています。それに反して減ってきているのが、摂取する脂肪酸の中のオメガ3脂肪酸の量です。
アラキドン酸の割合がEPAに比べて多くなると身体の中で炎症が非常に起こりやすくなりますし、肌荒れやアレルギーも起こしやすくなります。反対にオメガ3の占める割合が多くなると、炎症は起こりにくくなります。

無防備に油を取ってはいけない

もう少し詳しく見てみましょう。
細胞は「膜が命」です。細胞の性質を決めているのは、膜です。細胞膜には脂が入る“椅子”あります。白血球も細胞の膜によって性格が決まってきます。EPAとアラキドン酸がこの細胞膜で椅子取りゲームをするわけです。オメガ6が多い食生活をする人は、アラキドン酸が多い白血球の細胞膜になり、オメガ3が多い食生活をする人は、EPAが多い白血球の細胞膜になります。
心筋梗塞や狭心症によって救急車で運ばれて来るような患者さんは、オメガ6(アラキドン酸)に比べてオメガ3(EPA)の量が少ないことも分かっています。EPAの割合が、アラキドン酸の1に対して0.75以上の場合に冠動脈疾患のリクスが低くなるのです。
今、その比率が健康保険で計れるようになっています。これまではある程度感覚的なものだったのが、計算で出せるようになりました。
いろいろな民族でのEPAとアラキドン酸の割合を調べてみますと、先ほども見ましたイヌイットはアラキドン酸に対してEPAが9.0と非常に高い値です。イヌイットは魚は食べずにアザラシを食べているそうですが、これは、アザラシが魚を食べ、魚は海藻を食べ、この海藻に含まれているオメガ3がイヌイットに摂取されるということです。
千葉県の漁港に住む人は0.6くらいの値です。千葉県でも農業を営む人は0.4〜0.5くらいの値になります。欧米人は魚を食べませんので0.1という値になり、心筋梗塞を非常に多く発症しています。
日本人の65歳以上の人は、何とか0.6くらいをキープしていますが、35歳未満の人は0.3くらいになってしまいます。若い人は、魚離れの影響もありますが、脂肪を無防備に摂り過ぎていることが問題です。ちょっと外食をすると、そこにはオメガ6系脂肪酸が多く含まれています。

自分が取っている油の割合を知る

「血管を鍛えて超健康になる」ためには、運動不足を解消して、暴飲暴食を控えることはもちろん重要です。そして飽和脂肪酸を控えることも大事です。そして、食事からしか摂取できない多価不飽和脂肪酸のうち、オメガ3を、オメガ6に対して多く摂ることがとても大事なのです。
健康保険でEPAとアラキドン酸の割合を計れるようになりました。実際に患者さんで計ってみますと、ある患者さんの場合、アラキドン酸がかなり高く、EPAが低め。聞いてみますと「魚はけっこう食べていますよ」と言います。しかし、もっとよく聞いてみると、どうやら天ぷらで食べているようです。天ぷらにすると、魚のオメガ3が出て、揚げ油のオメガ6が入ってきてしまいます。しかも、炒め物などを多く食べていらっしゃることもあります。いくら食べていないと言っても、食べた物でしかオメガ3とオメガ6は増減しないので「動かぬ証拠」があるわけです(笑)。
また、別の患者さんで「魚が大好きで、刺身などでよく食べています」と言う方で、確かにオメガ3がたくさん入っていますが、オメガ6が非常に多い。比率は0.03と欧米人並みです。かなり血管の事故の危険が高くなる数値です。他に油を摂っていないと言い張るのですが、「食べないことには絶対に出てこない数字です」と告げて、よく聞いてみると、実は週に1回、大きなカレーパンを食べるなどオメガ6を大量に摂っていることが分かりました。
試験勉強を一生懸命にやっても、テストを受けなければ結果は分かりません。自分の食生活を、こうした検査で確認して、オメガ3とオメガ6の割合を確かめてみてください。

第1部『「血管」を鍛えると超健康になる! オメガ3に注目した血管若返り法』医療法人社団 池谷医院 院長、医学博士、総合内科専門医、循環器専門医、東京医科大学客員講師 池谷敏郎氏

私は「アマニスト」です!

私は現在53歳で血管年齢は34歳が出ました。41歳の時は血管年齢も41歳で年齢相当でしたが、現在に比べるとかなりぽっちゃりしていました。しかし、36歳の時の血管年齢は45歳で、当時の写真を見るとウエストがかなりメタボです。この状態の時にメタボ検診が始まったので、これでは私の言うことに説得力がありません。それで生活習慣の改善を自ら実践して、ここまで持ってきました。
以前の私の食事ですが、1日の全体として食べ過ぎてしまっているので、朝昼夜のどこかを減らそうと考えました。夜を減らすとやせやすいのですが、晩ご飯を減らすと夫婦間で不和が生まれやすいのですね(笑)。ご飯を残すと妻の機嫌が悪くなります。それで、昼は減らしたくないので、朝忙しいこともあり、朝は野菜ジュースだけにしました。
不足しがちなビタミン、ミネラルをこれで摂ることができます。低速ジューサーで作るとおいしいですし、大事な食物繊維を取り込んで、カスは出てしまいます。どうせカスは便で出てしまうものでもあります。このジュースにアマニ油を入れます。オメガ3はもちろんですが、脂溶性のビタミンも摂り入れやすくなります。
昼のメインは、山盛りサラダです。コンビニで買って来るものです。ここにコンビニの豚肉の生姜焼きを載せるとドレッシングはいりません。昼は外来で人と話しますので、食事では生臭くならないように魚ではなく肉を食べます。そのため、ここにローストアマニ粉末をかけます。これはいつものことで、私は常にアマニを持ち歩いていて「アマニスト」と自称しているほどです。
夜は、魚を結構食べます。ここにはローストアマニ粒をかけます。歯ごたえがあっておいしいですよね。
こうしていつもオメガ3とオメガ6の割合を気にしながら食事をしています。少しずつでも実行することが大切です。

簡単にできる「ゾンビ体操」

次にゾンビ体操を紹介します。
内臓脂肪を減らし、脂質異常、糖尿、高血圧を改善するために、そして血管を拡げて若返らせるためには、有酸素運動がとても大切です。有酸素運動は、ある程度リラックスした状態でしっかり呼吸しながら一定時間運動することです。
ウォーキングとか水泳が有酸素運動ですが、皆さん実行していらっしゃいますか。患者さんに聞くと、夏は暑い、冬は寒い、春は花粉が飛んでいる、などとおっしゃってなかなか実行されません。
そこで、テレビの前でテレビを見ながらその場でジョギングとウォーキングできるのが、ゾンビ体操です。これは1分間その場でジョギングし、30秒その場でウォーキングをします。
スロージョギングといって歩くくらいのスピードのジョギングがあります。その研究データを見ますと、3分走って1分半歩くと、これで10分間のウォーキングに匹敵するということです。これを朝昼夜と実行すれば、1日の目標の30分のウォーキングに相当することになるわけです。
それで「いつやるか」ということです(笑)。今ここで体験するのもいいでしょう。
ところで、血糖値が気になる方がいらっしゃると思いますが、血糖値は食後30分から1時間ほどで上がります。家事をしていれば、ちょうど洗い物が終わるようなタイミングです。そこでテレビでも見ながらこのゾンビ体操をすると、食後の血糖値の上昇が抑えられるので、糖尿病の発症予防に極めて効果的です。
実際、糖尿病になりかけている人や糖尿病の人にやってもらいました。しっかり実行してもらったところ、ウエストが2、3センチ減って、体重も少し落ちて、ヘモグロビン・エイワンシーも6.6あった人が6.2にまで下がりました。これは薬でもなかなか下がらない数値です。
血圧も下がりました。これから寒くなると、朝など血圧が上がりますが、朝起きて、トイレや洗面所に行く時に、ゾンビ体操のようにしながら歩くと、血管が拡張して血圧が下がります。激しい運動ではないので、血管を痛めることもありません。

アマニのオメガ3とゾンビ体操で血管に変化

それでは実行してみましょう。今日はそのための会場の座席のスペースも空けてもらっています。
名前はゾンビ体操ですが、姿勢は正しくしてください。背筋を伸ばし、お腹をクッと凹ませて、両足を少し拡げてください。肩の力をぬいて、腕をだらっと落とします。その状態で、足踏みをすると、肩が自然に動きます。お腹を締めて姿勢をよくしながら、手をブラブラさせてジョギングのように足踏みを続けてください。
これで1分続けると、汗ばんでくるくらいです。肩こりにもいいですし、お腹を凹ませると腹筋にもいいです。
それで1分経ったら、30秒間ゆっくりその場で歩くようにします。これは心拍数を上げ過ぎないためで、辛くない人であれば15秒でもだいじょうぶです。そして再び走り始め、もう一度繰り返します。
血流がよくなってじんわりとしてきますが、これはNOが出てきて、その刺激でさらにNOが出て、ストレスや緊張でグーッと縮まっていた血管が拡張します。
オメガ3の油をしっかり摂るって、このゾンビ体操を続けると、花咲かじいさんの「枯れ木に花を咲かせよう」のように血管に変化が始まって、血管が若返ります。
冒頭でお話しした桜の木です。
10年たった今年の春、また駅前に行って写真を撮ってきました。ところがよく見ると、2本あった木が1本になっていました。残った1本は見事に花を咲かせており、これは若い方の木かと思ったのですが、そうではなく、あの樹齢90歳の木が100歳になって、元気に残っていたのです。若い方の木は病気になって切り倒されてしまったそうです。
人間の血管も、検査をした時に既に動脈硬化なっている場合に、生理的な動脈硬化もあるでしょうし、それを超えている場合もあるでしょうが、そのまま放置をしないことが重要です。
食事でも運動習慣でも少しずつ改善することで、血管を大事に使えば、いつまでも長持ちします。
ゾンビ体操と、そしてアマニスト生活を実行していただき、血管を鍛えると超健康になってください。

先生プロフィール

料理家・栄養管理士 小山浩子先生

池谷 敏郎 (いけたに としろう)先生

 池谷医院院長。 医学博士。
 東京医科大学循環器内科客員講師、
 日本内科学会認定総合内科専門医、
 日本循環器学会循環専門医。

1962年4月10日東京都生まれ (53歳)。
1988年 東京医科大学医学部卒業後、同大学病院 第二内科に入局、血圧と動脈硬化について研究する。
1997年 池谷医院理事長兼院長に就任。

臨床の現場に立つ傍ら、内科、循環器科のエキスパートとして、「駆け込みドクター!」(TBS)、「世界一受けたい授業」 (日本テレビ) 「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日)などにテレビ出演し、雑誌、新聞への寄稿、講演を行うなど多方面で活躍中。
わかりやすく歯切れの良い医学解説で各メディアで活躍。

【著書】
「長生きしたければ知っておきたい 健康常識○と×」「ゾンビ体操」(アスコム)、
「血管を強くして突然死を防ぐ!」(すばる舎)、
「「血管を鍛える」と超健康になる!」(三笠書房)、
「心臓を使わない健康法」(マガジンハウス) など 多数。