アマニ,ニップンのアマニ
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アマニセミナー 女性の健康に役立つ栄養摂取

第1部 「生活習慣病と高血圧について」
京都薬科大学病態薬科学科系臨床薬理学分野教授 京都府立医科大学客員教授(循環器・腎臓内科) 医学博士
中田徹男氏

今日は、こうしたすばらしい会でお話しをすることができますので、できるだけわかりやすく皆さんにお伝えできればと思います。
アマニについてのセミナーということで、先日、学生たちと一緒に「ほんまに効果があるんかいな」と動物での効果を確かめる実験をしましたので、最後にその報告もしたいと思います。

脳の血管と健康

「不健康期間」が9年から13年間も

2013年、日本人男性の平均寿命が初めて80歳を超えました。女性はずいぶん前から超えているので、男女ともに平均寿命が80歳を超えたことになります。男性は80.2歳、女性は86.6歳となっています。日本は平均寿命と人口一人当たりのGDPから考えると、豊かで長生きの国であるといえます。
一方で「平均健康寿命」というものも話題になっています。心身ともに健康でしかも活動的でいられる期間を示すものです。具体的には「食事や入浴など日常生活動作を自分で行なうことができて認知症状態でもない」期間のことをいいます。こちらは男性70.4歳、女性73.6歳ですから、単純に平均寿命から引くと、男性で9.1年、女性で12.7年の「平均不健康期間」があるということになります。つまり、要介護や寝たきり状態など、自立した生活を送ることができない「不健康期間」が9〜13年あるというのが、長生きの国であるとされる日本の現状でもあるわけです。
また、2014年版厚生労働白書によりますと、健康に対しては、全体の61.1%が「不安がある」と回答しています。しかし「食生活に気をつけていない」と回答した人も31.2%で、健康を維持する具体的な行動には結びついていないこともわかります。

いかに脳の血管を健康に保つかが大事

主な死因別にみた死亡率の年次推移を見ますと、ガンが一番多いというのは皆さんご存知だと思いますが、次が心疾患で、一昨年には脳血管疾患が肺炎に抜かれました。日本では3位が肺炎となっています。これは、高齢者の肺炎は悪化してもなかなか熱も咳も出ないことがあり、手遅れになるケースによるものです。
「人生五十年」はよく時代劇に出てくる言葉ですが、わが国の平均寿命が50歳を超えたのは、実は第二次世界大戦が終わって2年後の1947年です。それから現在までの短期間で、日本は世界一の長寿国になり、しかも1億2千万の人口を誇るというのは驚くべきことであります。海外で高齢化と福祉の充実している国を見ても北欧などは人口が少なく、日本のような人口の国の長寿を北欧と同じ方法で支えることはできないと思われます。
死因では脳血管疾患が肺炎に抜かれましたが、患者数でみると脳血管疾患は一番多い受療率になっています。これは、脳血管疾患で亡くならないだけで、QOL(生活の質)が低いまま生活せざるを得ない疾患として注目すべき病気という意味があります。
また、患者数では人工透析が必要な慢性腎不全も多い病気です。慢性腎不全の一歩手前である「慢性腎臓病(CKD)」も将来の心筋梗塞の予測因子になることがわかってきています。
認知症は、アルツハイマー病が有名ですが、脳血管性認知症がアルツハイマー病と同じくらいの数であることを考えると、いかに脳の血管を健康に保つかによってQOLが保たれるかがわかります。
介護が必要になった原因を厚生労働省の「平成22年国民生活基礎調査の概況」から見ると、脳血管疾患が21%、認知症が15%、老衰が14%、以下、関節疾患、骨折と続いています。
これをさらに要支援と要介護に分けると、要支援者では「関節疾患」が19.4%と最も多く、「高齢による衰弱」が15.2%となっています。要介護者は脳血管疾患いわゆる「脳卒中」が24.1%と4分の1で最も多く、「認知症」は20.5%です。そして認知症のうちの半分が脳の血管に関係があるとすると、やはり脳の血管の健康が大切であることがわかります。

「寝たきりNO・脳」は心臓や腎臓とも関係あり

脳卒中は単独の病気と考えるよりも、慢性腎臓病や心筋梗塞のリスクと複雑に関係しながら起こるということが盛んに言われています。
ある人が将来に心筋梗塞になるかどうかを予測する因子は、意外に少ないものです。現在、科学的な根拠(エビデンス)としてはっきりしているのは、1つは身体の中の炎症(CRP)の値、そしてもう1つはCKDを持っているというものです。慢性腎臓病と心疾患が関連することから「心・腎関連」と呼ばれています。
ところで、昔から狭心症で苦しくなった時にニトログリセリンを使うということがなされていますが、ニトログリセリンがどうして狭心症に効くのか、その機序は長い間わかっていませんでした。最初は、ダイナマイトの工場で狭心症の患者が少ないことから注目され始めました。普通に考えれば、危険を伴う作業の中で狭心症が多そうですが、むしろ逆だったのです。実はニトログリセリンの中に含まれる一酸化窒素(NO)は、血管の内皮細胞から作り出されていて、血管を拡張することで狭心症を抑えていたのではないかと言われています。

「硬くなる」動脈硬化よりも怖い「かゆ状」動脈硬化

血管の内腔は加齢によって段々と狭くなりますが、これは「生理的動脈硬化」と呼ばれます。
この内腔の狭まりがどのくらいになるまで労作時に狭心症が起こらないかというと、それは4分の1以下と言われています。ですから半分くらい詰まっている高齢者が、町内のマラソン大会に出たとしても狭心症発作はおこらないとされていました。
ところが、狭心症の患者さんを診察して「50%の狭窄だからだいじょうぶですよ」と言った直後に心筋梗塞で倒れるということを多くの循環器の医師が経験し、その原因が究明されてきました。
そして、心筋梗塞はこうした硬い動脈硬化から起こるのではなくて、動脈硬化の病変の中に、じゅくじゅくと軟らかい「粥腫(じゅくしゅ)」がというものができ、これが血管の内腔に向かって破れることが原因だとわかってきました。どこかケガをして出血した時に血小板がふたをして血が固まることが、血管の内部でも同じように起こるわけです。

内皮細胞からの一酸化窒素(NO)が動脈硬化を防止

血管の構造を見ますと、正常な血管では内腔は一層の内皮細胞でおおわれています。この内皮細胞は、血圧などに接するいわば動脈硬化予防の最前線部隊です。ここから一酸化窒素(NO)が分泌されて、動脈硬化病変を防いでいます。
それが高血圧などで耐えきれなくなってくると、LDL(悪玉)コレステロールが内皮下にたまってきます。これがさらに、喫煙などの影響で酸化ストレスがかかって変性LDLになります。身体の中の単球というものがマクロファージに形を変えて血管内に入り、この変性LDLを食べてくれますが、そのまま死んで泡沫細胞となり、それらが溜まって粥腫になっていくのです。そして粥腫血管の内側に向かって破れると、それまで血管内腔が半分だけ詰まっていたものが、血小板のふたで一気に100%詰まってしまうことになります。
こうして心筋梗塞や脳梗塞が起こることが十数年前にわかってきたのです。

脳心血管病を防ぐためにメタボを考える

脳心血管病の危険因子として挙げられるものがいくつかあります。その中の、脂質異常症は以前は高脂血症と呼ばれていましたが、HDL(善玉)コレステロールが低いのは良くないことなので、呼び方として変わりました。ほかに、高血圧症、糖尿病、その原因にもなる肥満、遺伝や家族歴、喫煙、加齢(男性・閉経後女性)などがあります。この中で一番大きな因子は加齢になります。そして最近ではCKDも危険因子として挙げられます。
これらの中で、加齢や遺伝はどうすることもできません。喫煙はがんばって禁煙をすることができます。それ以外に、ちょっとがんばることで効率的に全部のリスクに効果が上がるものは何かを探る中で「メタボリック・シンドローム(いわゆるメタボ)」というものが考えられてきました。
メタボに該当する人の必須項目は、まず内臓肥満の目安として、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上の人です。女性は皮下脂肪が男性よりも厚いので数値が異なります。
これに加えて、以下のうちの2つ以上が当てはまるとメタボということになります。
@血圧が130/85mmHg以上
A空腹時血糖が110mg/dl以上となっており、それぞれ「黄色信号:正常上限を超える」
B中性脂肪(TG)が150mg/dl以上またはHDL(善玉)コレステロールが40mg/dl未満 
これらのうち、日本では高血圧を中心とするメタボが多くなっています。

インスリンの働きとメタボリック・シンドローム

第1部 「生活習慣病と高血圧について」
京都薬科大学病態薬科学科系臨床薬理学分野教授 京都府立医科大学客員教授(循環器・腎臓内科) 医学博士
中田徹男氏

高血圧や脂質異常症などは氷山の一角

1990年に入る頃になると、インスリン抵抗性・高インスリン血症がいくつかの病気の根底にあるのではないかと、いろいろな国のいろいろな学者が言い出しました。
例えば、内臓脂肪がいっぱいたまっていて、コレステロール値に異常があって、糖尿病になりそうで、高血圧の人は、心筋梗塞になりやすいですが、これが「内臓脂肪症候群」「シンドロームX」「死の四重奏」「インスリン抵抗性症候群」などと呼ばれて研究者たちから報告されてきました。
そして、臨床現場の医師は、「健康診断で血糖値がよくないと言われて」「中性脂肪が高いと言われて」などとして来る初診の患者さんを診断して、運動療法や食事療法についての説明をしますが、次々と来院する患者さんに同じような説明をしてきました。
こうしたことから、私たちが一つひとつの病気として捉えている高血圧、糖尿病、脂質異常症などが、実は氷山の一角であり、その根底の部分にインスリン抵抗性・高インスリン血症があるのだということが、言われるようになってきたのです。

高インスリン血症が高血圧・糖尿病・脂質異常症を引き起こす

インスリンは、血管の中に流れている糖を体内の倉庫内に取り込む働きをします。血糖値はインスリンが細胞内に糖を運ぶことで下がるわけです。
インスリン抵抗性というのは、たとえて言うと、健康な状態では1つの糖を1つのインスリンで運んでいたものが、1つの糖を運ぶのに2つのインスリンでなければ運べなくなった状態を指します。
身体の糖の倉庫としては肝臓がよく知られていますが、一番大きな倉庫は骨格筋です。ですから、運動もせず食事もしないダイエットをすると、骨とともに倉庫である骨格筋が減ることになるので、痩せたけれどもインスリン抵抗性が改善しないわけです。
さて、インスリン抵抗性が悪化すると、血液中の糖を運ぶために膵臓からインスリンの応援を頼むため、血液中のインスリンが増えて高インスリン血症となります。
インスリン抵抗性が悪化して高インスリン血症になると、多くの問題が生じてきます。まず、インスリンの働きで交感神経の働きが高まり心拍出量が増え血管が絞まり、腎臓での塩分の再吸収が増えて循環血液量が増え高血圧につながります。
また、インスリンの応援を頼みきれなくなると、倉庫への糖の取り込みは下がり、取り込まれないまま肝臓の糖生産が増えて、血糖値が上昇して糖尿病につながります。
さらに、中性脂肪が分解されずに増加したり、HDL(善玉)コレステロールが少なくなり、脂質異常症につながるのです。

同じウエスト90cmでも違いがある

肥満には、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満があります。同じ90cmのウエストでも、皮下脂肪型肥満の脂肪細胞は小型で、内臓脂肪型肥満の脂肪細胞は大型であることがわかってきました。
さて、脂肪細胞というのは、単なるエネルギーの貯蔵倉庫ではなく、いろいろな物質を作りだす一種の「内分泌臓器」であるということも言われるようになっています。
その分泌物質のいくつかに、インスリンのシグナルを邪魔する働きがあります。ですから内臓脂肪細胞が増えるとインスリンの効きが悪くなってしまいます。
また、腫瘍壊死性因子αという物質を出すことで強い炎症を起こして動脈硬化につながります。

脂肪細胞は善玉にも悪玉にもなる!?

では脂肪細胞は、いつから悪玉になるのでしょうか。未分化脂肪細胞は何も出しませんが、これがやがて分化して小型善玉脂肪細胞になります。そうなると、インスリンの効果を増強する物質(アディポネクチン)を分泌します。
ですから、皮下脂肪がまったくないある種の病気の人は、インスリンを投与しても血糖値は下がりません。こういう特殊なタイプの糖尿病の人には人工的に作ったアディポネクチンを同時に投与する必要があります。脂肪細胞はなくても困る存在でもあるのです。
それが内臓脂肪つまり大型悪玉細胞脂肪に変わると、インスリンの効果を阻害する腫瘍壊死性因子αを分泌してしまいます。そのために、糖尿病、脂質異常症、高血圧が起こってくるというのが、メタボの一つの機序になるわけです。
この大型悪玉細胞脂肪は、運動療法や食事療法によって再び小型善玉脂肪細胞に変化しますが、その数は増えてしまいます。そうなると次に暴飲暴食をすると、より太りやすくなり、よりやせにくくなってしまいます。
内臓肥満の大型悪玉細胞脂肪から、インスリンの効きを悪くする物質が作られ、高インスリン血症になり、結果的にいろいろな病気が起こり、動脈硬化から脳卒中や心筋梗塞などの血管病につながるという道筋になっています。

アマニの登場でオメガ3脂肪酸は摂りやすくなった!

メタボ対策に役立つ食事を考えましょう。
アディポネクチンを増やすには、マグネシウムと食物繊維を多く含む海藻類がお勧めです。
そして、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)を含む食材を摂ることが重要です。これは、イワシ、サバ、マグロ、サンマといった青魚が代表的ですが、アマニが日本の食卓に広まるようになって手軽にオメガ3脂肪酸を摂れるようになりました。それまでは、魚が苦手な人はオメガ3脂肪酸の摂取は難しかったのですが、その問題は解決できるようになりました。
酢や大豆を食べることも、肝臓の機能を高めてメタボ対策に有効だといわれています。
ほかにも、シジミ(アラニン)、豚肉(ビタミンB1)、タコ(タウリン)、抗酸化作用を持つ緑茶(カテキン)、赤ワイン(ポリフェノール)、そしてリグナンを含む『アマニ粒』がお勧めの食材です。

血圧と私たちの健康

キリンは「高血圧」だけれど健康?

第1部 「生活習慣病と高血圧について」
京都薬科大学病態薬科学科系臨床薬理学分野教授 京都府立医科大学客員教授(循環器・腎臓内科) 医学博士
中田徹男氏

私たちヒトの血圧は、120/80mmHgが正常値とされています。イヌの血圧は112/56mmHgとヒトに近く、ネコは171/123mmHgと少し高めです。キリンは260/160mmHgとヒトに比べると大変高い数値ですが、あれだけ高い位置にある脳の方まで血液を送るとなると、そのくらいの血圧が必要なのかも知れません。
ヒトの高血圧の診断基準は、140または90mmHg以上とされています。正常は130未満かつ85mmHg未満とされていますから、129までと84mmHgまでの両方の数値が揃って血圧が正常だといえます。

30歳以上の日本人男性の6割が高血圧

現在、日本では高血圧の診断基準を超える人が、実に約4300万人つまり3人に1人が高血圧患者であり、単一の疾患としては最も患者数の多い疾患となっています。
30歳以上に限ると、日本人男性の6割、女性の約5割が高血圧となっていて、しかも高齢化で増加することも心配されています。
それから、日本では高血圧と脳卒中の関連性が非常に高いという特徴もあります。これは諸外国に比べても高いものです。
ところで、140または90mmHg以上という高血圧の規準はどうやって決まったかといいますと、この数値を超えると男女ともに脳卒中の発症率が増加するという疫学的な研究から決まっています。

診察室での血圧と家庭での血圧

血圧が高い患者さんに家で血圧を測定してもらって、その数値を聞くと「140/90mmHgを超えることはありません」と鬼の首を取ったようにおっしゃる患者さんがおられます(笑)。しかし、家庭での血圧は診察室での血圧と同一ではありません。診察室血圧の140mmHg以上に相当する家庭血圧は135mmHg以上となります。これは、家では緊張が少ないので「5mmHg」くらい低くなるとされているからです。
血圧を測る原理を知っておきましょう。病院などで血圧を測るには、上腕にカフを巻いて動脈を圧迫します。その圧力を少しずつ弱めると、血液が流れ始め、聴診器で聴いていると拍動音が聞こえ始めます。この時が収縮期血圧つまり上の血圧です。やがてカフがゆるんで拍動音が聞こえなくなります。この時が拡張期血圧つまり下の血圧です。
家庭では電子血圧計を使うことが多いですが、これは振動を捉えて計測します。ただ、下の血圧はその測定の仕組みの関係上、機器などによってやや数値が異なることがあります。ですから患者さんには「家庭での血圧測定では下の血圧だけが最近おかしい場合、あまり悩む必要はありません、悩むと血圧が上がりますよ」と言っています(笑)。

条件によって血圧は変わることがある

朝、家で測定した血圧と、病院に来た時に測定した血圧を比べてみると、4つのパターンがあることがわかります。
家でも病院でも高い人、家でも病院でも低い人、そして家では低くて病院へ来ると高い人は「白衣高血圧」と呼ばれます。病院で医師やスタッフの白衣を見ると緊張して高くなるわけですが、病院へ行くと考えるだけで高くなる人もいます。反対に、家では高いものが病院では低くなる「逆白衣高血圧」「仮面高血圧」もあります。
この「仮面高血圧」の人に臓器障害が多いことが知られるようになってきました。原因としてはいろいろなことが言われ、睡眠時無呼吸症候群、脳血管障害、心不全、腎不全、過度の飲酒歴の人にも見られます。
普通の血圧の一日の変化は、眠っている時には15〜20mmHgくらい低く、起きる少し前から血圧が徐々に上がり、起きた時には比較的上がっていて、日中はさらに上がり、夜は帰宅後に下がり始め、眠るとさらに下がるようになっています。
ところが、中には朝起きた時が一番高いという人もいます。これも仮面高血圧に含まれ「早朝高血圧」といいます。こういう人も臓器障害が多いとされています。

血圧を下げる目標値は?

降圧目標値つまりどこまで血圧を下げたらいいかという値は、2014年に高血圧のガイドラインが変わって、原則として高血圧とされる140/90mmHgを下回る値にすることとされています。
ただし、75歳以上の後期高齢者の場合には、細くなった血管をある程度の血圧によって維持している場合があるので、急に下げずに150/90mmHgを目指すとされています。耐えられるようなら、やはり140/90mmHgを目指すことになります。
例外として、糖尿病患者さんと尿蛋白陽生のCKD患者さんは、さらに低く130/80mmHgまで下げるように言われています。
どの病気がどんな病気のリスクになるかを見てみると、喫煙は心血管病にもガンにもなるリスクがそれぞれ大きな割合を占めていますが、高血圧はほぼすべてが心血管病のリスクになります。また、LDL(悪玉)コレステロールが高いことや、多価不飽和脂肪酸の摂取が少ないことも、心血管病の大きなリスクとなります。
厚労省から出された「健康日本21(第2次)」というものがあります。脳血管疾患や虚血性心疾患を減らすための目標設定を示したものです。
そのベースになる、高血圧、脂質異常症、喫煙、糖尿病を減らすために、運動を増やすこと、飲酒のリスクを減らすことが挙げられていますが、栄養・食生活の部分では食塩摂取量の減少が提示されています。

オメガ3脂肪酸を積極的に摂る

生活習慣の改善ポイントとしては、いろいろとありますが、まず減塩の部分では、高血圧の人には1日6g未満の摂取量が目標とされています。
食事では、野菜や果物を積極的に摂取して、コレステロールの摂取や、肉の脂肪やバターなどの飽和脂肪酸の摂取を控えることがポイントです。
反対に、魚の脂肪を摂ること、これはオメガ3系脂肪酸を積極的に摂ることが推奨されています。
減量の部分では、体格指数(BMI 体重(kg)÷[身長(m)]2)が25kg/m2未満が目標(標準は22)となります。しかし、目標に達しなくても約4kgの減量でいろいろな病気に効果があると言われています。
生活習慣を変えることで、どのくらい血圧を下げることができるかの数値が報告されています。
減塩をしっかり実行すると収縮期血圧が約5mmHg下がります。体重の4kg減量で約4mmHg、運動をすることで約4mmHg、深酒をやめることでは約3mmHg下がります。では、これらを全部実行するとどうなるか。これを全部足し算しただけ下げることができると言われています。
それからDASH食の実施でも降圧の効果がありますが、それについては後ほど説明します。

高血圧は原因がわかりにくい

高血圧の90〜95%は、その原因がわかっていない「本態性高血圧」です。発症原因としては、肥満、ストレス、運動不足、老化、塩分の摂り過ぎなどがありますが、遺伝的な素因も見過ごせません。
両親ともに高血圧の場合には、高血圧になる素因を子どもが持つ確率は2分の1、親のどちらかが高血圧の場合は3分の1、両親ともに高血圧でない場合には20分の1となります。もちろん、食生活の問題や運動不足などで高血圧にはなりますが、これは普通の生活をしている場合の確率です。
高血圧のうち残りの5〜10%は、二次性高血圧と呼ばれるものです。以前は血圧が低いと言われていたのに高血圧になった、治療薬を飲んでいるが高血圧がよくならない、若いのに高血圧だ、などという人にはこの二次性高血圧が疑われることがあります。
原因としては、腎臓の血管が細くなったり、腎臓がだめになってしまったり、血圧を上げる内分泌ホルモンが分泌されるような腫瘍ができる、などがあります。時には、甲状腺の病気や薬の影響で高血圧になる人もいます。漢方薬の甘草(カンゾウ)をたくさん摂取し続けると、高血圧になることもあります。

脳心血管病と関係が深い腎臓の健康

第1部 「生活習慣病と高血圧について」
京都薬科大学病態薬科学科系臨床薬理学分野教授 京都府立医科大学客員教授(循環器・腎臓内科) 医学博士
中田徹男氏

一生大切にしなければいけない腎臓

腎臓は、握りこぶしくらいの大きさで左右に一つずつあります。この1個の握りこぶしの中に、いわば茶こしのような糸球体と呼ばれる装置が100万個もあります。左右で200万個が、生まれた時点で備わっていますが、この200万個はそのまま一生働きつづけるもので、途中で追加されることはありませんから、大事にしなければなりません。
人間はだいたい1日に1.5リットルほどの尿を出していますが、腎臓はその100倍の150リットルほども原尿をろ過して、そのうち99%が尿細管で再吸収されていますから、なかなかがんばっているのがわかります(笑)。
ナトリウムつまり塩分についても、ほぼろ過されて、100%近く再吸収されています。そこでこの再吸収を阻害しようというのが、降圧利尿薬です。
DASH食も、塩分の吸収を邪魔して尿から排泄する効果があるといわれています。
腎臓の本来の働きというのは、身体の水分が不足した時に、水分を温存させる大事なものです。心臓から出る血液の約4分の1が腎臓に流れてきますが、もし腎臓の血管が細くなって血流が不足すると、過剰に反応して高血圧になってしまうのです。

慢性腎臓病(CKD)とはどういうものか

最初の方でも出てきました、脳心血管病の危険因子の一つ、慢性腎臓病(CKD;Chronic Kidney Disease)は、2002年にアメリカで提唱された概念です。
CKDの定義は、1、尿たんぱく(0.15g/gCr)等の尿検査、血液・病理・画像検査の異常がある場合、2、体内の老廃物を尿中にろ過して排泄する腎機能が弱くなっている(糸球体ろ過値が60ml/min/1.73m2未満)場合。この1または2が3カ月以上続くと、CKDとされます。
日本人の成人では、2007年の推計で1,330万人がCKD患者だとされ、高血圧の患者では約30%がCKD患者だといわれています。
そしてこのCKDは心筋梗塞の予知因子として新たな国民病だといわれるようになりました。
実際、統計によると、CKDがあると心血管病は1.4倍多く、虚血性心疾患で1.9倍、脳梗塞で1.2倍と、CKDがない人に比べて多くなっています。ここから「心腎連関」「脳腎連関」という言葉もあります。

CKDの原因と高血圧対策

CKDの原因としては、糖尿病、高血圧や加齢による動脈硬化、慢性糸球体腎炎、そのほか多発性のう胞腎などが挙げられます。
やはり、糖尿病を防ぐと同時に、高血圧を防ぐことが、腎臓の病気を防ぐことにもなります。
高血圧や加齢が原因で起こる腎硬化症や虚血性腎症は、今後増加が予想されます。高血圧の早期発見と早期治療、それに減塩、そして規則的な運動による高血圧の予防が重要です。

メタボリック・シンドロームとCKD

メタボとCKDの関係も見てみましょう。
メタボがある人とない人で、CKDの発症率を比べると、メタボがある人が倍以上になっています。しかもメタボには、内臓肥満、脂質異常、血糖の異常、高血圧という要素がありますが、これらを多く持っているとCKDになりやすいこともわかっています。
メタボのリスクはCKDのリスクであり、脳卒中や心筋梗塞のリスクでもあるということで、それらが相互に関係して、どれが“卵かニワトリか”わかりませんが、悪循環を生み出すことになります。

血圧を下げるということ

血圧は、指先などの血管にいくとかなり圧が低くなりますが、一部の特殊な血管構造をもつ臓器では血圧の影響をもろに受けるものがあり、そうした臓器では血管が切れやすくなります。それが、脳、腎臓、心臓、眼の網膜中心動脈などです。
地域ブロック別の食塩の摂取量を、厚労省の『日本人の食事摂取規準(2015年版)』から見てみましょう。
東北地方では1日あたり1.1gの男女平均になっています。ただ、この数値は実際よりも少なめなのではないかと思います。それから、これは男女の平均なので、男性は女性よりも1g以上多く摂取していると考えられます。関西の方は全体に摂取量は少なめです。
生活習慣病の予防を目的とした「目標量」は、18歳以上の男性で1日当たり8.0g未満、女性で7.0g未満となっています。ただし高血圧の場合には、6.0g未満が目標量となります。

食塩摂取と高血圧・腎障害の関係

食塩を摂取するとなぜ血圧が上がり、また腎障害を起こすのでしょうか。
ナトリウムを取ると、水分が血管の中にたまってきて循環する血液の量が増えますから、高血圧になります。
また、脳に直接働いて交感神経活動を活発にすることで、血圧が上がります。
さらに、腎・血管組織のレニン・アンジオテンシン系という働きが作用することで、血圧を介さずに腎障害につながるという部分もあります。
これらが複雑に絡み合って、高血圧と腎障害を引き起こすことになります。

アマニの健康効果とDASH食

第1部 「生活習慣病と高血圧について」
京都薬科大学病態薬科学科系臨床薬理学分野教授 京都府立医科大学客員教授(循環器・腎臓内科) 医学博士
中田徹男氏

血圧上昇を防ぐ食事「DASH食」

さて、DASHというのは、血圧上昇を防ぐ食事の方策(Dietary Approachs to Stop Hypertension)の略であります。アメリカの国立衛生研究所(NIH)で、1997年にアメリカ人向けに出されたプランです。
これはどこの国でも血圧上昇を防ぐ食事としていいということから、日本でもDASH食が注目されています。
その内容を簡単に言いますと、色の濃い野菜と果物を増やして、肉を減らす食事です。さらに、魚の油そしてそれに準じたオメガ3脂肪酸を摂りましょうということです。
しかし、日本人の魚の摂取は減る傾向にあり、肉の摂取が増えているのが最近の状況です。青魚の代わりにオメガ3脂肪酸を摂ることができるのが、アマニです。
このDASH食で増やす栄養素には、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、たんぱく質があります。一方、飽和脂肪酸とコレステロールは減らすべき栄養素となっています。
カリウムは、腎臓の尿細管でのナトリウムの再吸収を邪魔する働きがありますので、塩分摂取を減らすのと同じ効果があり、降圧降下があります。カルシウムも同じように、塩分摂取を減らすのと同じ効果があります。マグネシウムにも降圧降下があります。
食物繊維を多く摂ると、お通じがよくなることは知られていますが、同時に、食事療法の中に「食べる順番交換療法」というものもあります。これは、同じ食事の内容・量であっても、先に野菜類を食べ、野菜以外の食事を次に食べ、最後に米のご飯を食べる、という順番で食事をすることで、血糖値の上昇が緩やかになるというものです。
食物繊維の中でも、海藻類は特にメタボ対策にいいのですが、昆布などのあのヌルヌルしているものにはアルギン酸という成分が含まれていて、これがカリウムを食べ物として取り入れることに役立ちます。さらにナトリウムをつかまえてくれます。

日本人は多価不飽和脂肪酸が不足している!

DASH食としての栄養素の量と、実際の食事での栄養素の量を比べると、日本人はオメガ3脂肪酸等の多価不飽和脂肪酸が不足しています。コレステロールは摂り過ぎていて、アメリカ人よりも多いくらいです。食物繊維は圧倒的に足りていません。カリウム、マグネシウム、カルシウムも足りません。
つまり、DASH食で摂りましょうと言われている緑黄色野菜類が足りていないことがわかります。さらにオメガ3脂肪酸などの多価不飽和脂肪酸も一緒に取ることで、DASH食に近づくことができます。
脂肪酸には、肉やバターなどに多く含まれている飽和脂肪酸と、それ以外に不飽和脂肪酸があります。不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸があり、一価不飽和脂肪酸は、オリーブ油やサフラワー油がよく知られています。多価不飽和脂肪酸はさらに、大豆油やゴマ油に多く含まれるオメガ6脂肪酸と、青魚やアマニ油に多く含まれるオメガ3脂肪酸に分けられます。

オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の多価不飽和脂肪酸とは

オメガ6脂肪酸では、リノール酸がよく知られています。以前はこのリノール酸を摂りましょうということも言われていましたが、今はCMなどでも言われることはなくなりましたね。
オメガ3脂肪酸では、α-リノレン酸、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などが知られていて、サプリメントなどにもよく使われています。α-リノレン酸は、体内で一部がEPAやDHAに変化します。
多価不飽和脂肪酸は、体内では合成できない必須脂肪酸です。中でもオメガ3脂肪酸は、細胞壁をしなやかにしたり、発育や成長のためにも欠かせない栄養素です。中性脂肪を減らす働きもあります。
ところが、植物油やゴマに多いオメガ6脂肪酸を摂り過ぎると、体内で過酸化物を生成して動脈硬化を引き起こしたり、アレルギーや悪性腫瘍の原因になることも指摘されています。また、α-リノレン酸の効果を弱めることも言われています。
それでは、油つまり脂肪酸をどのような割合で摂取するのがいいのでしょうか。飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の割合が、3対4対3がいいとされていますので、やはり多価不飽和脂肪酸、それもオメガ3系を今以上に摂ることが必要です。

DASH食は減塩食と同じような効果がある

高血圧とナトリウム(食塩)の関係はさきほどもお話ししましたが、カリウムはナトリウムを減らす働きで重要です。
脂質に関しては、オメガ3脂肪酸は、コレステロールや中性脂肪を下げる働きが知られています。
食物繊維も、食べた物の中の余分なものをできるだけ吸収させずに排泄するため、コレステロールを下げる働きがあります。コレステロールが高い方は、お寺で修行僧が食べるような精進料理を続けると2割はコレステロールが下がります(笑)。
DASH食というのは、腎臓のナトリウム排泄を増加することで、血圧を下げる働きがあります。したがって、減塩をしているかのような効果があるわけです。

青魚が苦手な人もアマニでオメガ3系の必須脂肪酸を

さきほどから、青魚を食べましょうと勧めていますが、イワシやサバを毎日食べるのはなかなか難しいですね。そこでアマニが、それらに代わるオメガ3系の必須脂肪酸摂取に役割を果たすわけです。
アマニに含まれるオメガ3脂肪酸の1種であるα-リノレン酸は、身体の中でEPAやDHAに変化するので、青魚が苦手な人でもオメガ3系の必須脂肪酸を摂ることができます。

海外でも驚異と報告されるアマニの健康効果

アマニの種子の殻には「繊維質リグナン」というポリフェノールの一種が含まれています。
これは、強力な抗酸化作用があり、抗アレルギー作用や、さらに血圧降下の作用があることも報告されています。
また、エストロゲン作用によって、乳ガンの発症抑制や更年期障害の抑制、骨粗鬆症の抑制効果も報告されています。
アマニの殻が腸内で分解されて、繊維質による穏やかな通便効果も期待されます。
アマニ油摂取で実際に血圧降下作用があったという報告がギリシャにあります。
そして、カナダには「これまでの食事介入研究の中で一番血圧を下げた」というタイトルで、驚くべき結果とされる2013年の実験報告があります。『Hypertension』という、医師にとっては血圧に関してバイブルのような専門誌に掲載されました。
その内容は、アマニ粉末とそうでない粉末(小麦)を別々の人に毎日30g、6カ月間食事に混ぜて摂取してもらい、その後1年まで経過観察をしたものです。アマニ粉末も小麦粉末の方のプラセボについても、わからないような味つけをしています。対象は抹消動脈病という指の血流が悪い人です。喫煙者が26.3%、高血圧75%、糖尿病32%、高脂血症79%という病気だらけのような人がほとんどです。
その結果、全体で半年後には約10mmHg下がっています。さらに高血圧患者に限ると約15mmHg下がっています。高血圧の患者にも効果があり、それが1年後も継続していたといいます。
そしてこのときに、血中のオメガ3脂肪酸のα-リノレン酸、EPA、DHAの量を計ると、2倍に増加していました。リグナンは10倍に増えていました。
これらはおそらく、抗酸化作用や抗炎症作用で血管がしなやかに保たれたために血圧が下がったのだろうと考えられています。
私も、学生たちと一緒に、ラットを使った実験をしてみました。その結果も驚くべきもので、高血圧のラットにアマニ油を経口投与すると、血圧が抑えられてきて、尿中のたんぱくも減っていました。

アマニが高血圧対策に役立つ可能性がある!

高血圧症に対する食事療法として、オメガ3脂肪酸を青魚で取るように言われていますが、アマニを食べることで、それに代えることができる可能性があります。
また、アマニを食べることは、サプリメントではなく、自然食に近い形で栄養素を補うこともできます。
アマニの粒を食べることで、リグナンの抗酸化作用、食物繊維の摂取、降圧ペプチドの補給が期待できます。
さらに、ミネラル等の栄養バランスの補給効果も期待できます。
高血圧治療中の患者にも、減塩食とともに、相加的な降圧効果が期待できる可能性もあります。
こうしたことから、今後、高血圧に対する機能性食品として働くすばらしい可能性が、アマニにはあると言えるのです。

※資料: ファイザー製薬 医師用資料より改編