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このページはホームの中のアマニセミナーの中の第2回アマニセミナー トップの中のPart1 認知症と生活習慣病との関わり

アマニセミナー 育脳から認知症予防まで

認知症と生活習慣病との関わりが話題に

 糖尿病をはじめとした生活習慣病と認知症の間に、深い関わりがありそうだということが、最近とても話題になってきています。  2013年7月25日の朝日新聞に「アルツハイマーは脳の糖尿病説 インスリンに着目、報告次々」という記事がありました。
 実は、ちょうど私たち医師の仲間が、アルツハイマー病と糖尿病の予防についての研究グループを立ち上げたところだったので、この問題が今とても注目されていることが実感できたのです。  糖尿病は、インスリンという物質が体内でうまく働かない病気ですが、認知症も同じようにインスリンがうまく働かない、いわば糖尿病の一種なのではないか、ということを私たちは調べています。

超高齢化社会に入った日本

  皆さんもよくご存知だと思いますが、日本は高齢化社会から超高齢化社会に入っています。そして、かつての多産多死型から多産少子型へ変わり、さらに少産少死型へと移ってきました。
 日本は先進国の中でも特に少産少死型ですが、これは日本人の平均寿命が高いということです。その理由について、私もよく国際的な医学の学会でよく聞かれますが、「日本では高い水準の医療をすべての人が公平に受けられる」ことに理由があるといわれています。また「日本の国民栄養調査の価値」ということも理由とされています。

高血圧や糖尿病の治療と認知症の治療

 「薬剤貢献度/治療満足度の変化」という医師に対する調査結果があります。生活習慣病や循環器の病気、認知症などの精神疾患に関して、治療の満足度や薬の貢献度がどうであったかを示すものです。
 これによりますと、高血圧、糖尿病、脂質異常症は、最近、良い薬が開発されていることもあって、治療の満足度や薬の貢献度ともにとても高いという結果になっています。
 また、生活習慣病から起こる脳梗塞や心不全も、その結果がずいぶんと良くなってきています。
 ところが、認知症に関しては、治療の満足度や薬の貢献度は低いままです。これを高血圧や糖尿病のような高い位置に持っていくことが大きな課題だと思っています。

認知症患者は今後も増加する

 認知症の患者さんは増えていますけれど、その増え方は10年くらい前に出された予想を超えています。
 患者さんの数と65歳以上での割合の予想は、2010年では280万人で9.5%、2015年では345万人で10.2%、2020年では410万人で11.3%、そして2025年では470万人で12.8%となってしまいます。
 さらに進む高齢化の中で、お年寄りの夫婦では片方が認知症で片方がその介護をするという状況が目前に迫っています。これは実際に私が医師として間近に見ている実感でもあります。
 また、認知症患者の割合は地域によって異なりますが、特に都市部では認知症患者が増えている実態もあり、これにも注意が必要です。
 東京都の高齢者人口は、2012年の推計によりますと、65歳から74歳までの人口、75歳以上の人口とともに過去最高を更新しています。そうなると、都市部での認知症患者数のさらなる増加も心配されます。

認知症への取り組みは家族や本人も

 2013年1月4日の読売新聞に「認知症に対して日本国全体の課題として、認知症と向き合う体制が必要だが、行政は出遅れている」という主旨の記事がありました。少しオーバーな気もしますが、考えるべき部分もあります。
 認知症への対策として「認知症患者の生活習慣病を悪化させない」「認知症予備群とされる方の認知機能を悪化させない」そして「認知症患者を増加させない」ということが考えられます。このうち「認知症予備群とされる方の認知機能を悪化させない」ということについては医療側の責任が大きいでしょう。
 しかし、それ以外の2つについては、行政も関係しますが、本人や家族の態度が大切になってくると思います。

h生活習慣を改善して認知症予防につなげる

 認知機能の低下した人が、さらに悪化して認知症につながってしまうリスクについて、外国でのデータがあります。
 これによると、飲酒や喫煙は認知症に関係がありますが、脂質異常症、糖尿病それに高血圧はさらに認知症を進めてしまう危険が高い、というのです。
 脂質異常症、糖尿病、高血圧それから睡眠障害もそれぞれに大きな問題となり、心筋梗塞や脳梗塞に進んでしまう危険が非常に大きいものです。
 特に日本人は“高血圧民族”といわれていますが、先にもお話ししたように、高い治療効果も期待できるのですから、そのままにしておく手はありません。そしてもちろん、これらの病気は、生活習慣の改善によって解決できるのです。
 今までは、こうした生活習慣からくる病気を予防することで、心筋梗塞や脳梗塞の危険性を減らすことが考え方の主流でした。しかし、今ではさらに、認知症を予防する上でも大切だといわれるようになりました。
 認知症は、40歳から65歳までの若年者にも発症しますし、高齢者になると高い頻度で発症します。
 私たち医療関係者は、若年者でも高齢者でも、認知症にならずに暮らしていける人を増やすことが役割ですが、ご本人の自覚によっても防ぐことができるのです。
 生活習慣の改善によって、皆さんどうか、認知症予防を進めるようにしましょう。

先生プロフィール

河村 満 先生
■昭和大学病院附属東病院 院長
昭和大学教授 医学部神経内科部門 教授

高次脳機能障害学、認知症、脳卒中、神経難病等の分野を中心に、臨床、研究、教育分野で国内外問わず幅広く活躍。

【資格】 【専門分野】
日本神経学会専門医 高次脳機能障害
日本内科学会認定内科医 神経内科一般
日本脳卒中学会専門医  
日本頭痛学会専門医
 

 

 

【主な研究実績】
・ヒトの社会行動に辺縁系が果たす役割(現在臨床中)
・顔認知コミュニケーションの神経基盤の臨床神経心理学的検討
・ヒトの感情認知と感情生成の臨床神経心理学的研究
・パーキンソン病非運動症状の病態解明と早期診断への応用
・高齢ドライバーの危険判断能力―光トポグラフィと皮膚電位反応を用いた検討

【主な著書】
 「メディカルスタッフのための神経内科学」(医歯薬出版)
 「高次脳機能障害Q&A基礎編」(新興医学出版社)
 「高次脳機能障害Q&A症候編」(新興医学出版社)