アマニ,ニップンのアマニ
アマニ,ニップンのアマニ
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ニップンのアマニ探訪 日本

 

 ファーブルといえば、とても有名な著書「昆虫記」があります。南仏ルーエルグ山地の村サン・レオンに生まれ、50代から亡くなるまではセリニャンで過ごし「昆虫記」の2巻から10巻まで書き上げたそうです。昆虫だけではありません。ファーブルは、植物の世界についても記し「ファーブル植物記」という著書からは、オリジナリティ溢れる自由な発想で植物についても観察している様子が伺えます。その原文をフランスのカレーの図書館でみつけたのは、ファーブルゆかりの地を訪ねて歩いた、画家であり絵本作家としても知られる安野光雅さんだったそうです。この著書の中に亜麻を解説する一節がありました。時々名前が似ていることから同属の植物と間違えられてしまう麻と比較し、亜麻と麻が同じ工程を経て繊維をとる植物であるにも関わらず、亜麻のほうが珍重されていることに疑問を投げかけているファーブルですが、それは同時に、亜麻と麻の間に明らかな品質の差があったことを教えてくれてもいます。  

・・・アマとまとった貴婦人は、自分はアサを着こんだ労働者とは別人種だと思っている。どうか握手をなさい、思いあがりや羨望は忘れることです。わずかばかりの樹皮がそんなに大きな問題でしょうか。白麻上布、チュール、紗、レース、マリヌ産糸レースなど、ぜいたくな織物はアマの樹皮からとる。もっとじょうぶな織物はズック地にいたるまで、アサの樹皮から採取される。・・・
 アマは、ほっそりした一年生の植物で、淡い青色の小さな花をつける。アジア中央の高原が原産地だが、今日では北フランス、ベルギー、オランダで広く栽培されている。これは人間が最初に衣料にもちいた植物である。エジプトのミイラは、もう三、四○世紀も地下の墳墓に眠っているけれど、その体はアマの布に巻きこまれている。アマの繊維は非常に細く、紡ぎ車にかけた糸は三○グラムで長さ五○○○メートルもの糸になる。アマの細さと肩をならべられるのはクモの巣だけだ。
 アサは東インドの原産のようだが、すでに数世紀来、全ヨーロッパに馴化している。一年生植物でひどい臭いを発し、地味な緑色の花をつけ、ほっそりした茎は約二メートルの丈に達する。アマと同じように、皮と麻の実とよばれる種子をとるために栽培がおこなわれる。
(「ファーブル植物記」より)
 この文章に続いて、繊維をとる2種類の方法(水を使ったウォーターレッティングと畑に寝かせて自然に茎を腐らせて繊維をとるデューレッティング)を解説し、紡ぎと織の工程を終え、アサの樹皮は麻布となり、アマは一ひら数百フランもするような華麗なレースになるとファーブルは結んでいます。
 19世紀にも広く栽培されていた場所のひとつ、北フランスに今「La Capitale du Lin(亜麻の都)」と名乗るひとつの村があります。ノルマンディのルーアンの近くにあるDOUDEVILLEです。この村のHPを覗いてみると、毎年6月頃には 「EXPO-LIN」という名の展示会も開催されているようです。日本語に訳すと亜麻博覧会といったところでしょうか。
 京都でリンネットという亜麻の繊維であるリネンのお店を経営されている作家でありイラストレーターでもある前田まゆみさんの著書「リネンが好き」には、この時期のDOUDEVILLEの様子、それにアマニを使った美味しそうなパンやパテなどの写真が掲載されています。本の中には、この村の亜麻だけでなく、世界各地の亜麻栽培、人とリネンとの関わりや歴史が、愛情込めて細やかに書かれています。
 亜麻の繊維であるリネンと種子のアマニを使って、アイピローを作ってみました。電子レンジで温める、冷蔵庫で冷やすなど温度を変えて使えます。
 
「 ファーブル植物記」表紙
(現在品切れ)
「 リネンが好き」表紙
 
 


引用&参考書籍:
「ファーブル植物記」J-H・ファーブル著 日高敏隆・林瑞枝訳 平凡社 1984年
「リネンが好き」前田まゆみ著 文化出版局 2002年